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社説・コラム

『ひと・とき』 バイオリン、シター奏者 白井朝香さん 違いを超え平和の思い共有

 「被爆バイオリンで演奏したいと思った」。25日に広島市中区のエリザベト音楽大セシリアホールである「ハートフル ガラコンサート」に出演し、広島市出身で被爆2世の作曲家糀場(こうじば)富美子さんの「ルブリョフの扉」を披露する。

 中世ロシアの圧制下に生きたイコン(聖像)画家ルブリョフと民衆の苦悩を、独奏バイオリンで表現する約10分の作品。広島で被爆したロシア人パルチコフさんのバイオリンで奏でる。糀場さんからは「原爆で苦しんだ人々の思いに重ねていただける貴重な機会」とのメッセージが寄せられた。

 エリザベト音楽大を卒業後、広島を拠点にバイオリン奏者として活躍。15年前からは、フランスの修道院などで祈りの伴奏に使われる楽器「シター」の奏者としても活動する。

 昨年11月、広島市の姉妹都市ハノーバー市などドイツ3都市を回り、シターで「ひろしま平和の歌」などを奏でた。温かい拍手を受け、4月に再びドイツ公演をすることが決まった。「言葉や宗教の違いを超え、平和への思いを共有したい」(西村文)

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 ガラコンサートは午後2時開演。エリザベト音楽大同窓会佐伯区支部の主催で、同支部コーラスによるエルガー「威風堂々」などもある。2500円(前売り2千円)、学生千円。同支部☎090(8069)6402。

(2024年2月20日朝刊掲載)

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