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連載・特集

まちなかスタジアム 先進地から <4> サンフレ 仙田社長に聞く

観光客も来る仕掛けを

 エディオンピースウイング広島(広島市中区)は、Jリーグ屈指の「まちなかスタジアム」の先進地になった。今後、そのかじ取りに大きな注目が集まる。指定管理者を担うJ1サンフレッチェ広島の仙田信吾社長に、今後の展望や思いを聞いた。(山本堅太郎)

  ―10日のプレシーズンマッチG大阪戦はほぼ満員でした。
 観客席とピッチとの近さ、スタジアム内で生まれる音と迫力。来ていただいた2万6418人には満足していただけたと思う。試合中に基町を歩いたが、意外なほど音も漏れていなかった。まずまずのスタートだった。

  ―今後は試合日以外のにぎわいづくりも求められます。
 男子の19試合と女子の11試合。さらにアジア・チャンピオンズリーグも見据えれば、ピッチを自由に使える週末はほとんどない。スタンドや諸室をどれだけ有効活用できるかにかかっている。

 現状では、千人規模の会合を含め、企業の周年事業や説明会の予約がある。パブリックビューイングもやりたい思いがある。大型スクリーンで試合を見ながら、ビアガーデンのように飲食を楽しむイメージをしている。

  ―スタジアムがある基町地区への貢献について考えはありますか。
 住民の皆さまとしっかり向き合っていく。スタジアムが生活に影響を与える存在である以上、あって良かったと思えるものでないといけない。「子どものことを考えてほしい」という声もよく聞く。サッカー教室や夏のラジオ体操の会場としてスタジアムを開放するなど、何らかのアプローチをしたい。

  ―広島の新たなランドマークとして、どのように平和を発信しますか。
 ミュージアムで流しているショートムービーは、被爆からの復興と広島サッカーの歴史を振り返るもの。見てもらうためにも、平和記念公園や原爆ドームで完結する観光客に、ミュージアムまで来てもらう仕掛けが必要だ。

 具体的には、原爆資料館、広島平和文化センターとの連携の検討を始めた。修学旅行の誘致も、旅行代理店と連携して地道にやっていきたい。交流サイト(SNS)で海外からの反響が大きいキャプテン翼の壁画は、今後種類を増やしていく。(おわり)

(2024年2月21日朝刊掲載)

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