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原爆投下時刻指す腕時計 米オークションに出品 ICAN批判「広島へ戻すべき」

 原爆投下時刻の午前8時15分を指す腕時計が被爆資料だとして米競売会社のインターネットオークションに出品されていることが21日、分かった。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))は、「個人が利益を得ることを懸念」し、競売取り下げを求めるメリッサ・パーク事務局長名の書簡を競売会社に送った。

 競売サイトは、もともと戦後復興の調査で広島に派遣された英国の兵士が拾ったものだと説明。2015年に英国で競売に出され別人の手に渡ったとしている。今回の出品は、原爆開発を主導した人物の伝記映画「オッペンハイマー」の公開がきっかけという。

 入札受け付けは22日までで、日本時間21日午後6時時点の最高額は1万8700ドル(280万円)。どのような鑑定を経て被爆資料としての真正性が判断されたかは不明。

 パーク事務局長の書簡は20日付。広島で1945年末までに約14万人が犠牲になったことを踏まえ「土地と犠牲者にゆかりのない人が、遺体や廃虚から見つけた物の所有を主張することは許されない」と批判し、「原爆資料館での展示のため広島に戻すべきだ」としている。(小林可奈)

(2024年2月22日朝刊掲載)

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