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佐々木雄一郎写真展開幕 妻喜代美さん 資料館を訪問

■記者 水川恭輔

 原爆の惨禍とまちの復興を撮り続けたヒロシマの写真家佐々木雄一郎さん(1917~80年)の写真展が18日、原爆資料館(広島市中区)で始まった。広島平和記念都市建設法の公布60周年を記念し、同館が企画。初日は、妻喜代美さん(88)=東区=も訪れた。

 爆心地から約800メートルでがれきと化した自宅跡、原爆ドームを背に立つバラック、外国人の靴を磨く子ども、平和大通りの建設風景など101点が並ぶ。

 遺族から2007年に同館へ提供された約2200点のうち、被爆から10年間のまちや市民の暮らしを伝える作品を選んだ。遺品のカメラも紹介している。喜代美さんは国重俊彦副館長の案内で、職員に車いすを押されながら会場を巡った。

 佐々木さんは西九軒町(現在の中区西十日市町)出身。原爆で母や兄の家族たち肉親13人を失った。原爆投下から12日後、カメラマンとして働いていた東京から帰郷。犠牲者を追悼する一心でシャッターを切り続け、10万点以上を残した。喜代美さんは被爆翌年に結婚。写真の現像や整理を手伝い続けた。

 見学を終えた喜代美さんは「夫は演出をしないで人やまちを撮った。子どもたちに原爆の悲惨さを知ってほしい」と願っていた。12月15日まで。無料。

(2009年7月19日朝刊掲載)

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