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被爆2世ゲノム解析 放影研、8月にも着手

 被爆2世のゲノム(全遺伝情報)解析を巡り、放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は21日、8月にも着手する考えを明らかにした。すでに予備的な調査を開始。親の放射線被曝が子の健康に及ぼす遺伝的影響の解明を目指し、成果となる論文を早ければ2028年に発表する。

 研究や運営について意見を聞くため、研究所内で開いた地元連絡協議会でスケジュールの見通しを示した。手法の確立を目的とした予備調査を4家族を対象に、今月中旬に始めた。8月の終了後に本調査を始め、27年12月まで続ける。結果の分析を経て、28年か29年に論文を発表するという。

 放影研によると、ゲノム解析は広島、長崎の被爆者とその子どもたち約500家族約1500人が対象。親の被曝線量の多い集団と少ない集団で、遺伝子変異の状態などを比較し、遺伝的影響の有無を調べるという。

 4月には広島、長崎両市で、ゲノム解析について紹介する市民向けの公開シンポジウムを開く。神谷研二理事長は協議会後に記者会見し「着実に準備を進めてきた。社会に広く情報を提供し、意見をもらって、最終的な調査開始時期を決める」と話した。(宮野史康)

(2024年2月22日朝刊掲載)

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