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被爆建物6件 国史跡指定 官報告示 レストハウスなど 西条酒蔵群も

 広島市内の六つの被爆建物からなる「広島原爆遺跡」が21日、国の史跡に指定された。修繕時などに国の補助金を受けられ、「もの言わぬ証人」の確実な保存、継承へ一助になる。東広島市の「西条酒蔵群」も同日、酒蔵で初の国史跡となった。(和多正憲)

 広島原爆遺跡は、いずれも爆心地から2キロ圏にある。うち平和記念公園(中区)内のレストハウスは爆心地からの距離が170メートルで、原爆ドームに次いで近い。被爆時は燃料配給統制組合の事務所として使われ、地下室にいた1人を除く36人が犠牲になった。市は2018~20年に耐震性の確保などのため改修した。

 ほかに中区にあるのは旧日本銀行広島支店(爆心地から380メートル)本川小平和資料館(410メートル)袋町小平和資料館(460メートル)中国軍管区司令部跡(790メートル、旧防空作戦室)。もう一つは南区の多聞院鐘楼(1750メートル)で、木造の被爆建物では爆心地に最も近い。

 国の文化審議会が昨年10月に「被爆の痕跡を顕著に残す」として、国史跡に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申していた。この日、同省が官報に告示した。原爆の惨禍を伝える建物では原爆ドーム、長崎原爆遺跡に続き3例目となる。

 西条酒蔵群はJR西条駅南側の酒蔵通り一帯にある、白牡丹酒造の延宝蔵▽賀茂鶴酒造の一号蔵▽福美人酒造の大黒蔵▽旧広島県醸造試験場(賀茂泉酒造の酒泉館など)―で構成される。

(2024年2月22日朝刊掲載)

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