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FMCTの制定へ議論 参院外交・安全保障調査会

 参院外交・安全保障調査会は21日、核兵器の材料となる物質の生産を禁じる兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)制定への道筋を探る議論をした。岸田文雄首相が目指す早期の交渉開始に向けた外交方針などに関し、3人の専門家が持論を唱えた。

 FMCTは1993年に条約化を求める決議が国連で採択されたが、一部の核保有国の反対で30年余り交渉さえ始まっていない。一橋大大学院の秋山信将教授は消極的な立場の中国へのアプローチに触れ「日中が相互に課題を解消する戦略的対話が必要だ」と訴えた。

 非政府組織(NGO)ピースボートの川崎哲(あきら)共同代表は、中国の賛同を得るために「(核超大国の)米ロに核軍縮を求めないといけない」と強調。青山学院大の阿部達也教授は法的拘束力のある条約に固執せず、各国の協力が得やすい枠組みを検討するよう説いた。

 岸田首相は昨年9月、米国でFMCTの関連行事をオーストラリア、フィリピンと共催するなど条約制定に向けた外交に力を入れている。(樋口浩二)

(2024年2月22日朝刊掲載)

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