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核軍縮議論 促進に30億円 外相表明 海外3研究機関に拠出

 上川陽子外相は27日の閣議後会見で、核軍縮の国際的な議論の促進を目的に、欧米とアジアにある三つの研究機関に計30億円を拠出すると表明した。「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」と名付けた取り組みで、日本政府が専門家1人ずつを任命。関連の国際会議などに合わせて軍縮分野の発信を強める。

 岸田文雄首相が昨年9月の国連総会で提唱した構想を具体化した。米国のカーネギー国際平和財団▽オーストリアのウィーン軍縮不拡散センター▽シンガポールの国際戦略研究所(IISS)アジア―に3月末までに均等に資金を出す。専門家の活動期間は設けず、恒久的な仕組みとする。

 上川氏は、研究機関を巻き込むことで「政府だけにとどまらない重層的な取り組みが実現できる」と強調。「軍縮か抑止かという二項対立の議論を乗り越えることが極めて重要だ」と述べた。

 岸田政権は核軍縮に注力する一方、昨年5月の広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)で採択された「広島ビジョン」が核抑止の必要性を明記するなど「核保有国に寄り過ぎ」との批判も付きまとう。チェア創設を核兵器を確実に減らしていく一歩とできるかが焦点となる。(樋口浩二)

(2024年2月28日朝刊掲載)

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