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けいざいトリビア 国際平和都市 ホテルの源流

 新型コロナウイルス禍が和らぎ、国内外の観光客でにぎわう広島市内のホテル。昨年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、多くの参加国関係者も受け入れた。国際平和都市のホテルの源流には、被爆からの再起を期した地元経済界の熱い思いがある。

 復興が進んでいた1953年正月のラジオ番組で、山陽木材防腐(現ザイエンス)の故田中好一社長が「初夢」を語った。「広島に立派な公会堂とホテル、物産陳列館を造りたい」。東洋工業(現マツダ)など多くの地場企業が賛同し、集まった寄付で55年、中区の平和記念公園内に新広島ホテルが完成した。食堂や宴会場を備えた市内初の都市型ホテルで、市公会堂に併設された。

来年に誕生70年

 中区上八丁堀にあった広島グランドホテルに事業を移す形で73年に閉館。94年に中区基町にできた系列のリーガロイヤルホテル広島が伝統を継いだ。同ホテルは4月に開業30年を迎え、来年は新広島ホテル誕生から70年となる。

 「節目の年に、地域の善意で生まれた歴史を改めて胸に刻みたい」と和田守弘副総支配人。これからも「地元に愛されるホテル」を目指し、サービスを磨き続けていく。(小川満久)

(2024年2月29日朝刊掲載)

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