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[ビキニ被災70年] ウォッジェ環礁も「死の灰」 前首長主張 米は被害地と認めず

 中部太平洋マーシャル諸島ウォッジェ環礁のジョー・アンカー前首長(51)は5日、日本原水協の代表団と首都マジュロのホテルで面会した。米国が核実験の被害地として認めてこなかったウォッジェにも、「死の灰」のような降下物の目撃証言や、健康被害の訴えがあると主張。米国による速やかな救済を訴えた。(マジュロ発 下高充生)

 ウォッジェは、1954年に米国が最大規模の核実験「ブラボー」をしたビキニ環礁から南東に約550キロ。アンカー氏は、核実験後に「空から粉のようなものが降ってくるのを見た」という高齢の住民の証言を紹介。住民に相次いだ甲状腺がんなどとの関連を疑っているとし、「非常に腹立たしい」と述べた。

 こうした被害の訴えを米国に受け入れさせるため「闘いを諦めない」と強調。核兵器を持つ9カ国の国際法上の核軍縮義務違反を確認しようと、2014年にマーシャル諸島が国際司法裁判所(ICJ)へ提訴した際の亡きトニー・デブルム外相のような国際的な活動が必要になるとした。

 米国は核実験場のビキニなど4環礁の被害について責任を認めている。一方、ブラボー実験ではウォッジェを含む13環礁に「重大な放射性降下物が降った可能性がある」とする米公文書(草案)もある。

(2024年3月6日朝刊掲載)

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