朝凪(あさなぎ) 戦争の傷 三十一文字に
24年3月5日
この半年、備後エリアの「福尾面」編集を担当し、月に1、2回載る読者の短歌を楽しみにしている。ほのぼのとした三十(みそ)一文字(ひともじ)が多い中、戦争とシベリア抑留の体験をつづる作品が気になっていた。作者は96歳の掛谷敏男さん。話を聞きに福山市へ向かった。
過酷な10代だった。14歳のとき青年たちの開拓団に加わり旧満州(中国東北部)に移った。終戦間際、旧ソ連軍との戦いに駆り出され弾薬などの輸送に従事した。当時を語る目に、涙が浮かぶ。
「友撃たれ駆け寄るわれの脇に弾今なお修羅場八昔(やむかし)なるも」
戦後はシベリアで過酷な労働を強いられた。「経験した者として伝えたいんです」と、今なお心の傷に向き合い短歌を紡ぐ掛谷さん。その意味を、私は考え続けたい。(編集センター・湯浅梨奈)
(2024年3月5日朝刊掲載)
過酷な10代だった。14歳のとき青年たちの開拓団に加わり旧満州(中国東北部)に移った。終戦間際、旧ソ連軍との戦いに駆り出され弾薬などの輸送に従事した。当時を語る目に、涙が浮かぶ。
「友撃たれ駆け寄るわれの脇に弾今なお修羅場八昔(やむかし)なるも」
戦後はシベリアで過酷な労働を強いられた。「経験した者として伝えたいんです」と、今なお心の傷に向き合い短歌を紡ぐ掛谷さん。その意味を、私は考え続けたい。(編集センター・湯浅梨奈)
(2024年3月5日朝刊掲載)