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広島城下町の写真 市が保存センター 来月 市民に提供呼びかけ

 広島市は4月1日、市公文書館(中区)に「写真資料保存センター」を設立する。地域に眠る、主に江戸期以降の絵図や写真を掘り起こして収集、活用し、城下町だった広島の歴史や文化を後世に伝える。

 センターは、市民に戦前や戦後の希少な写真などの提供を呼びかける。公文書館と兼務する職員や伝統行事に詳しい専門家も、市内の各地域に出向いて埋もれた資料を発掘。温度や湿度を管理できる既存の保管室に収蔵し、デジタル化も進めるという。市議会で審議中の2024年度一般会計当初予算案に関連費800万円を計上している。

 活用へは、24年度に公文書館のデータベースを拡張し、原爆資料館(中区)や郷土資料館(南区)など市の関連施設が所蔵する写真とともに横断的に検索できるようにする。展示、調査研究にも生かすほか、将来は人工知能(AI)や仮想現実(VR)を活用したカラー化、3次元化などを検討するという。

 原爆で街が壊滅し、城下町として栄えた広島の歴史や文化が知られていないとの問題意識から、市はセンター設立を決めた。古い写真などが劣化したり、所有者の高齢化で散逸したりする懸念も高まる中、貴重な資料を収集・管理したい考えだ。公文書館は「郷土愛を育み、原爆で断ち切られた歴史や文化を伝えたい」としている。(宮野史康)

(2024年3月5日朝刊掲載)

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