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米巡礼団が原爆投下謝罪 広島で被爆者6団体に「和解へ対話を」

 カトリック系の平和団体「パックス・クリスティ」米国支部の巡礼団が10日、広島市中区の世界平和記念聖堂で広島の被爆者6団体の代表者と会い、米国の市民として原爆投下を謝罪した。米国政府による謝罪実現への一歩にしたい考え。核兵器禁止条約の推進も訴えた。

 巡礼団11人を代表してローズマリー・ペースさん(70)が声明を読み上げた。米国政府が原爆投下への謝罪を表明していない現状を「遺憾だ」と指摘。「朝鮮半島出身者を含む被爆者たちに対して、同胞の犯した残虐な行為への許しを求め、和解に向けた対話を始めたい」と表明した。

 広島の被爆者7団体のうち、松井一実市長が会長を務める市原爆被爆者協議会を除く6団体が迎えた。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(81)は「核大国の米国からこのような動きが生まれたことをうれしく思う」と歓迎。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)も「過ちを認めてこそ真の和解が生まれ親交が深まる」と応じた。

 また、6団体と巡礼団は共同宣言を発表した。米国政府に公式謝罪を要求。核兵器保有国と日本政府に禁止条約への参加を呼びかけている。

 パックス・クリスティは世界各地に拠点を置き、平和や人権の尊重を訴えている。米国支部の有志が被爆者たちに直接謝罪したいと願い、カトリック広島司教区の仲介で実現した。12日には長崎に赴き、被爆者に謝罪する。(山田祐、小林可奈)

(2024年3月11日朝刊掲載)

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