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那須さん遺影登録 「ズッコケ三人組」の児童文学作家 平和祈念館

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は8日、人気シリーズ「ズッコケ三人組」で知られる西区出身の児童文学作家で、被爆者の那須正幹さん(2021年に79歳で死去)の遺影を登録したと発表した。

 那須さんは3歳の時、爆心地から約3キロの庚午北町(現西区己斐本町)の自宅で被爆した。1978年から出身地の己斐地区をモデルにした「ズッコケ三人組」シリーズを刊行。全50巻で累計発行部数は2500万部に上り、戦後の日本児童文学最大のベストセラーになった。

 一方、「折り鶴の子どもたち」や「絵で読む 広島の原爆」など原爆や戦争を題材にした作品も多く手がけた。11年には広島の戦後を描いた「ヒロシマ」3部作を発表。憲法9条を巡る活動に力を入れ、安全保障関連法を違憲とする集団訴訟の原告に名を連ねた。

 78年からは妻美佐子さん(73)の実家がある防府市で暮らした。遺影を提供した美佐子さんは「夫は一般市民が犠牲になる戦争を嫌い、市民運動にも参加し続けた。登録を機に、多くの人に祈念館の存在を知ってほしい」と話した。祈念館は被爆者の遺影登録を広く受け付けている。同館☎082(543)6271。(山下美波)

(2024年3月9日朝刊掲載)

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