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PFAS問題で補正予算 上水道敷設工事や住民の健康診断費 東広島市5500万円 「安心安全へ努力」

 東広島市内の瀬野川水系周辺の井戸水から国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、市は18日、地域住民の健康診断費用などを盛り込んだ計5500万円の2023年度一般会計補正予算案を開会中の市議会定例会に追加提案した。市議会は同日、同予算案をPFASへの対応を国に求める意見書案とともに可決した。(石井雄一)

 市が昨年12月に瀬野川沿いで指針値超えが判明した後に実施した調査では、川や水路、井戸水の計99地点のうち25地点(河川・水路10地点、井戸水15地点)で指針値を超えた。米軍川上弾薬庫近くの井戸水では、最大で指針値の300倍を検出した地点もあった。

 市は指針値を超えた井戸水を使う世帯やその近隣の計17世帯を対象に、上水道敷設のための工事費を補助。監視調査を続け、農業用水の水質検査や土壌検査もする。

 また、指針値を超えた世帯の地域住民たち約90人を対象にした臨時の健康診断の初回を23日に実施する。ただ、PFASとの関連が不明として血中濃度の測定はせず、病気が見つかった場合の医療費の負担も困難としている。高垣広徳市長は「健康への因果関係が分からず、まずは現在の健康状況を知ってもらうことで安心安全に近づく努力をしたい」と述べた。

 PFASは瀬野川水系では同弾薬庫より上流では指針値超えが確認されず、別の黒瀬川水系では指針値を下回った。高垣市長は米軍に対して同弾薬庫敷地内の水質・土壌調査を求めるよう国と県に要請している。市議会もこの日、水質調査の実施を米軍に求め、PFASの健康や農作物への影響を明らかにすることなどを政府などに求める意見書案を追加提案し、全会一致で可決した。

(2024年3月19日朝刊掲載)

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