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被爆後電車運行 母の体験知って 24日西区 証言動画と演奏会

 米軍による原爆投下から3日後、焼け野原となった広島の街で運行を再開した「一番電車」。車掌として乗務したのが笹口里子さん(93)=広島市西区=だった。「当時14歳の女学生の気持ちに思いを巡らせてほしい」。長女の桑田朋子さん(62)は、高齢で証言が困難になった母親に代わり体験を伝えている。24日には証言動画と被爆ギターによるコンサートも開く。

 笹口さんは爆心地から約2キロの広島電鉄家政女学校の寮の食堂で被爆した。けがを負いながら、運行が再開した8月9日朝から己斐―西天満町間で業務に就いた。数年前まで、一日中往復運行してけが人を運んだ体験などを語ってきた。

 当時を知る広電関係者は笹口さんだけになった。桑田さんはそんな母の証言を記録している。爆心地から3キロで被爆したギターを題材に「ささぐちともこ」名で児童文学作品「ラグリマが聞こえる」(汐文社)も出版していることから、「平和を願う気持ちを育む」コンサートを企画した。

 コジマホールディングス西区民文化センターで午後1時半開演。ピアノとソプラノの協演も。当日一般2800円、学生千円。大島さん☎090(9687)3282。(新山京子)

(2024年3月20日朝刊掲載)

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