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音声ガイド翻訳担当 ウクライナ人学生 原爆資料館初訪問 露侵攻で避難中

 原爆資料館(広島市中区)が来館者へ貸し出すウクライナ語の携帯型音声ガイドで、翻訳を担当したウクライナ人学生たちが21日、初めて同館を訪れた。ロシアの侵攻を受けて日本に逃れており、被爆の実態に触れて涙を流す姿も見られた。

 日本経済大(福岡県太宰府市)で学ぶ首都キーウ(キエフ)国立言語大のウクライナ人学生12人が昨夏、母国の在日大使館から依頼を受けてガイド内容の翻訳に携わった。資料館は2月16日にウクライナ語を加え、今月19日までに13件の利用があったという。

 21日は日本語文献学科3年の3人が約80分の音声ガイドを聞きながら館内を見学。涙を浮かべ、被爆死した子どもの遺品の三輪車や焼け焦げた弁当箱に見入った。

 祖父母をキーウに残すカテリナ・マニコフスカヤさん(21)は「心が痛くてたまらなかった。母国が同じ状況になってほしくない」と願った。スビトラナ・レジコさん(20)は「展示を見て原爆被害をより理解できた」、マリヤ・コルネバさん(20)は「ウクライナ人も母国語でガイドを聞け、より深く内容を感じられる」と話した。

 3人は原爆慰霊碑前で手を合わせ、原爆ドームにも足を運んだ。(山下美波)

(2024年3月22日朝刊掲載)

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