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「ガザ攻撃 即時停止を」 広島市キリスト教会連盟が声明 被爆地 平和の願い届け

 昨年10月から続くパレスチナ自治区ガザでの戦火は、多くの一般市民を含め3万人を超える犠牲者を生んでいる。心痛むニュースが連日届く中、広島市内の47のプロテスタント教会でつくる市キリスト教会連盟が「イスラエルによるガザ攻撃の即時停止を求める声明」を出した。街頭での連日のアピールを支える信徒も。「被爆地広島から平和の願いを届ける」との決意でいる。(山田祐)

 声明は、攻撃により幼い子どもまでもが虐殺され続けていると訴えた上で、「原子爆弾に焼かれた広島の地におけるキリスト教会」として現状を黙認できないと強調。殺りくの停止と平和の実現を求めている。

 ガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」の越境攻撃(昨年10月7日)を受け、イスラエル軍は空爆を苛烈化、地上侵攻した。広島市中区の原爆ドーム前では10月半ばから毎夕、市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」が即時停戦などを訴える。メンバーの一人で広島市立大教授の湯浅正恵さん(61)はプロテスタントの信徒だ。

 20年ほど前に初めてパレスチナを訪ね、何度も足を運んだ。現地のキリスト教徒とも交流し、理不尽な状況下にあっても信仰に生きる人々に触れた。「聖書は迫害された者の書である。それを胸に刻んだ」。パレスチナ支援に身を投じる原動力になっている。

 「停戦に向け、市民や行政がそれぞれの立場でできることがある。私たちは声を上げ続ける」と力を込める。

「広島が希望」と語った子たち、どうか無事でいて…

市連盟会長・立野牧師

殺りく 神の意志に反する

 広島市キリスト教会連盟の会長を務める広島福音ルーテル教会(中区)牧師の立野泰博さん(63)に、声明を出すに至った経緯や思いを聞いた。

    ◇

 広島から声を上げることには大きな意味があります。パレスチナの子どもたちにとって、被爆の惨状から立ち上がった広島は一つの「希望」。報復のための軍事都市にはならず、平和都市として歩んできた。自分たちの国もそうなってほしいと願っているんです。

 現地を7度訪れた私にそれを教えてくれた子どもたちも、行方が分からなくなるなどしています。どうか無事でいてほしい。胸が張り裂けそうです。広島の連盟としても声明を出さなくてはと考え、役員の賛同を得て、ことし1月末に公表しました。

 パレスチナの人々は、イスラエルの占領政策にずっと抑圧されてきました。分離壁の中に閉じ込められたガザ地区の人々の苦しみや怒りは想像を絶します。侵攻の発端となったハマスの攻撃は決して許されるものではないですが、こんなことが起きないかずっと心配していました。

 今も市民が犠牲になり続けているイスラエルの攻撃は過大で、間違った行為です。一般に広く知られている旧約聖書の「モーセの十戒」の一つに「殺すなかれ」とあります。自分たちに正義があると言い張ったとしても、人を殺してしまえば、神の意志に反しています。

 パレスチナの現状に、多くの人々が心を向けてほしい。「広島が希望だ」と言った子どもに思いをはせてください。平和へのメッセージを声明に込め、一人でも多くの人と連帯できればと願います。

(2024年3月25日朝刊掲載)

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