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現地住民ら手がけた ウクライナ人形見て思い寄せて 中区で2~4日展示会 関心の低下に危機感

 ロシアの武力侵攻にさらされるウクライナの人たちが作った現地の伝統人形「モタンカ」の展示会が4月2~4日、広島市中区袋町の旧日本銀行広島支店である。ポーランド出身で、神奈川県在住のアンナ井上さん(59)が企画。「平和を願い、今日も攻撃に耐え続けている人々に広島から思いを寄せてほしい」と来場を呼びかける。運営ボランティアも急募している。(編集委員・田中美千子)

 モタンカは針、はさみなどの鋭利な道具を使わず、布に糸を巻くなどして形作る。お守りとして、大事な人に贈る風習があるという。今回は「平和を願うウクライナ人形展」と題し、現地の市民の作品を中心に50体を飾る。それぞれ、作り手が寄せたメッセージも添える。

 井上さんは武力侵攻から1年余りが経過した昨年5月、関心の低下を食い止めようと、インターネットで見つけた現地の人形作家に日本での展示会の話を持ちかけた。数人に作品の提供を求めたところ、協力の輪が広がり、ウクライナ国内外から140体が届いた。

 併せて、国内外で避難生活を続けるウクライナの人を支援する募金を展開。ウクライナでの協力者もでき、心に傷を負った子どもたちを芸術で癒やすアートセラピーも実現した。その際に子どもたちが作った人形も広島の展示会で並べる。

 展示会は昨年9月から首都圏を中心に開き、広島は6カ所目。井上さんは「原爆による破壊から復興し、平和と自由を取り戻した街。この地で開くことで、ウクライナの人々に勇気を届けたい」と力を込める。ただ広島に縁はなく、「手弁当での開催なので協力してほしい。短時間でも大歓迎です」。応募はメールで。heart1jp@gmail.com

 入場無料。午前10時~午後5時(4日は午後3時まで)。

(2024年3月26日朝刊掲載)

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