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平和の志 校歌がつなぐ 浜田四中閉校 歌詞刻み記念碑 

開校当初48年に生徒合作 卒業生「考えるきっかけに」

 「地球を平和の空に」「日本を民主の国に」。今月末で77年の歴史を終える浜田四中(浜田市)は、開校当初の生徒たちが案を出し合って校歌を作詞した。終戦直後の世相を色濃く反映し、高い志を掲げた歌詞は、各地で戦争が続く中、後世に問いかけを続けている。(黒田健太郎)

 今月、四中であった閉校式。羽柴千晴校長(56)が「世界平和を願い、ともに歩もうとする校歌を大切に歌い継ぎながら四中の伝統は守られていった」とあいさつ。住民たちが式後開いた「閉校の集い」には、生徒6人の四中に卒業生たち約500人が集まり、名残惜しそうに校歌を合唱した。

 四中によると、開校翌年の1948年、まだ校歌がなかったことから、当時の教員が生徒から歌詞を募ってまとめたという。45年に終戦を迎え、46年に現行憲法が公布された直後。羽柴校長は、歌詞を地域の文化人に頼まず、生徒の合作にした点も含め「この時代ならでは。生真面目なまでに高い志を掲げようとしたのだろう」とみる。

 卒業生で、四中が続けてきた稲作学習の世話を半世紀以上続けてきた其原清弘さん(87)は「生きてきて世の中の仕組みが何度も変わった。それでもあらためていい歌詞だなと思う」。ウクライナやガザなどで戦闘が続いていることも念頭に「閉校が歌詞をもう一度思い出し、考えるきっかけになってほしい」と願う。

 思いはいまの生徒にも続く。最後の卒業生の一人、石津由依さん(15)は「この歌詞で日本や世界に考えを広げることができ、私を成長させてくれた」と感じている。「世界の人々が少しでも笑顔になれるよう、この歌詞を時々思い出していきたい」と期していた。

 閉校の集いの実行委員会は校歌を記した記念碑を制作。現校舎を解体した後に建つ美川小の新しい校舎が完成した後、敷地に据える。

(2024年3月30日朝刊掲載)

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