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原爆資料館198万人 入館最多 23年度 外国人が3割超

 広島市は1日、原爆資料館(中区)の2023年度の入館者数が過去最多の198万1617人(速報値)になったと発表した。年度終盤に1日当たり最多の1万1千人超が訪れるなど、見込みより上振れ。外国人も年間最多を更新し、全体の3割超を占めた。24年の被爆80年に向け、市は混雑対策を進め、核使用の惨禍の発信に力を注ぐ。(野平慧一)

 市と、資料館を運営する広島平和文化センターによると、23年度の入館者数は1955年の開館以来最多だった19年度を22万2871人上回った。1日当たりの最多は先月30日の1万1146人。外国人は人数、割合とも年間記録を塗り替え、67万614人、33・8%となった。

 23年5月に市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)を通じた被爆地への関心の高まりに加え、ロシアによるウクライナ侵攻など緊迫した世界情勢が影響。円安も追い風になったという。

 一方、混雑面の課題が浮上。8月12~14日は1日当たり7900~8200人が訪れ、最大2時間待ちの行列ができた。市は対策として2月16日にオンラインでの入館チケットの予約・販売を開始。開館を1時間早め、閉館を1時間遅らせる試みを3月1日に始めた。

 3月31日は1万311人が入館し、54・9%がオンラインを利用。待ち時間はピーク時の半分になったといい、市は「対策に一定の効果があった」とみる。今夏には券売機を導入する。

 同じ平和記念公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館も02年度の開館以来3番目に多い39万5372人が訪れた。市役所で記者会見した広島平和文化センターの谷史郎副理事長は「被爆80年を念頭に被爆の実態や核兵器の非人道性を訴えていく」と話した。

(2024年4月2日朝刊掲載)

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