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南米移住 被爆者の歩み 南区で展示 日本の支援求める資料

 ブラジルの被爆者団体から県医師会に寄贈された記録資料が、広島市南区霞の広島大医学部医学資料館で公開されている。ごく一部は昨年8月から県医師会館(東区)で常設展示しているが、まとまった形での展示は初めてとなる。同大原爆放射線医科学研究所(原医研)が主催し、5月17日まで。

 昨年3月に届いたブラジル被爆者平和協会(2020年末解散)の段ボール6箱分の資料から、約半数を展示する。ペルーやアルゼンチンを含む南米5カ国に移住した被爆者139人が回答した1988年の実態調査の原本などがあり、一部はコピーやパネル展示で回答の記述を閲覧できる。

 自由記述には「入院必要なれど赤貧の為(ため)それは出来なかった」「日本のいい病院で療養したい」など母国の支援を求める悲痛な訴えがつづられている。分析を担当する原医研の久保田明子助教は「体調不良や経済的な苦しさを抱え、頼れる親族もいないなど、在外被爆者の苦労が垣間見える」と話す。

 資料の寄贈を主導した協会元理事の渡辺淳子さん(81)=サンパウロ市=は「援護を受けられないまま亡くなった人も多い。苦労が詰まった貴重な記録を多くの人に見てほしい」と願う。

 入場無料。平日午前10時~午後4時。(小畑浩)

(2024年4月5日朝刊掲載)

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