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「平和巡礼」60年 被爆者らに思い 中区で回顧パネル展

 米ソ冷戦期の1964年、被爆者が世界を回って被爆の実態を伝えた「広島・長崎世界平和巡礼」のパネル展が7日、広島市中区の合人社ウェンディひと・まちプラザで始まった。NPO法人ワールド・フレンドシップ・センター(WFC、西区)が、巡礼から60年となるのに合わせて企画した。14日まで。無料。

 巡礼は被爆者25人を含む約40人が75日間をかけ、米国やソ連など8カ国150都市を訪ねて証言などをした。パネル展では、被爆者に参加を呼びかけた実行委員会の趣意書や、当時の新聞記事など67点が並ぶ。

 被爆者の森下弘さんのメモ帳には、原爆投下時に大統領だったトルーマン氏と米国で面会した際の「済まない、といった表現なし」との記述がある。巡礼先で被爆体験を伝えた阿部静子さんがつづった日記も展示する。

 WFCは、巡礼の提唱者で米国人平和活動家バーバラ・レイノルズさん(90年死去)が創設。立花志瑞雄理事長(68)は「当時を知ることで、ヒロシマの役割を考えるきっかけにしてほしい」。来場した西区の岡原民幸さん(85)は「バーバラさんの強い意志を感じる。継承したい」と話していた。(長久豪佑)

(2024年4月8日朝刊掲載)

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