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戦闘半年 やまぬ空爆・食料不足… ガザ支援命懸け 「停戦を」 広島県出身NGO女性が証言

 パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって7日で半年になる。開戦時、ヨルダン川西岸の自治区内で非政府組織(NGO)の一員として活動していた広島県出身の女性(30)が、一時帰国した東京都内で取材に応じた。現地の惨状を語り、「今すぐ停戦しないといけない。政府は米国に追随せず、独自の外交交渉を」と訴えた。(宮野史康)

 国際協力NGO職員の女性は昨年10月7日朝、畜産支援のためにガザの北東約80キロの同自治区ラマラにいた。スマートフォンに届いた危険情報のメールで目覚めた。ハマスはガザからイスラエル各地に3千発超のロケット弾を打ち込み、イスラエルも迎撃した。「ドーンドーン」というごう音が「何度も鳴り響いた」という。

 戦禍の広がりを懸念して3日後、陸路でヨルダンへ退避した。現地の友人は「ここは私たちの土地。安全が確保されなくてもこの地で死にたい」ととどまった。女性は「土地を奪われ続けてきたパレスチナ人の覚悟を痛感した」と振り返る。

 以降は、ヨルダンの首都アンマンでガザ住民支援に当たってきた。気がかりなのは、ガザに残る同僚職員6人のことだ。

 女性によると、ガザではジェノサイド(民族大量虐殺)が起きている。中部デールバラハの同僚女性(46)は10月下旬、イスラエルの空爆で兄弟2人を失った。別の空爆でも自宅近くのアパートに爆弾が直撃。自宅も爆風で壊れた。一帯は住宅街で、攻撃目標になる軍事施設はない。

 食料は不足し、この同僚は闇市で食いつなぐ。貧血を患いながらも、現地の住民に食料を配る日々を過ごしている。女性は同僚が口にした「死ぬ直前まで人の命を救うため働き続けたい」との言葉を胸に刻んでいる。

 ガザ保健当局によると、ガザ側の3月末の死者は3万2782人に上った。国連は、ガザの人口の半数に当たる約110万人が今後、飢餓に直面する可能性を指摘している。女性は「安全に支援物資を届けるためにもまずは停戦しないといけない。日本の皆さんもガザの惨状に思いを寄せ、自分にできることを考えてほしい」と求めている。

(2024年4月7日朝刊掲載)

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