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防衛省案 重要な選択肢 市民が誇りに思える場所に 日鉄呉跡地整備 新原市長インタビュー

 防衛省による日本製鉄(日鉄)瀬戸内製鉄所呉地区跡地(呉市)での複合防衛拠点整備案について、呉市の新原芳明市長は11日、中国新聞社のインタビューで「市民の誇りにも関連が深い、重要な選択肢」と強調した。跡地活用の在り方を判断する上で重視している点については「市民が誇りに思える場所になることが大切」と繰り返した。

 3月上旬に拠点整備案が浮上して以降、新原市長は「防衛省の話を丁寧に聞いていく」などと述べるにとどまり、多くを語ってこなかった。この日、整備案への率直な感想について「多くの市民に海上自衛隊と一緒に生きてきたという意識がある。私にもある。重要な選択肢として受け止めている」と話した。

 その上で、跡地活用の行方を考える上で「市民の誇りは重要」と主張。誇りについては「戦後、呉に拠点を置いた海上自衛隊が日本の独立と安全を守ってきたという思いが市民に強くある」と説いた。

 昨年9月末に日鉄呉地区が事実上閉鎖した市の現在の経済状況は「悪くはない」との見解を披露。「経済効果のために、平和を守る防衛拠点として必要な機能を得られない案になるのであれば、市にとってもマイナス」と言う。

 市は広島県とともに呉地区跡地の産業用地としての活用を検討するため、日鉄に3者協議の開催を求めているが、日鉄は「防衛拠点整備案に注力する」として不参加の意向を示した。新原市長は「日鉄は地元をないがしろにしないと思っている。ただ、いろんな場で情報交換できることは大事なので多くのチャンネルを持ちたい」と話した。(衣川圭)

(2024年4月12日朝刊掲載)

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