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「憲法擁護考えるため」 広島市長 教育勅語と引用の意図

 広島市の松井一実市長は12日の記者会見で、本年度の新規採用職員向けの研修資料に戦前の教育勅語の一部に加え、新たに憲法前文の一部を引用した意図を説明した。「いろいろな意見をどう受け止め、公務員として憲法を尊重し擁護する義務を果たすかを考えるため」と述べた。

 松井市長は8日の研修で、教育勅語を「日本を戦争体制に持ち込むためにあった」などと説明した上で「現憲法下で到底認められないが、今でも大事なところが書いてある」と紹介したという。「憲法を守っていないのでは」との誤解の声があるため、憲法前文の一部を追加して「丁寧に説明した」と話した。

 会見ではほかに、2023年度の原爆資料館(中区)の入館者数が過去最多になった受け止めを「ヒロシマの心を世界中の市民社会に根付かせていくことに必ずつながる」と強調。引き続き、混雑対策を検討する考えを示した。

 エディオンピースウイング広島(同)で6月11日にある26年のサッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選のシリア戦にも言及した。被爆地広島で初のW杯予選で、内戦が続く国の代表を迎えることになり、「スタジアム名のように平和の翼を広げる第1弾」と指摘。シリア代表による原爆資料館の見学に期待した。(野平慧一、山下美波)

(2024年4月13日朝刊掲載)

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