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米が07年臨界前核実験 NPO調査で判明 定義の基準「拡大」

 横浜市のNPO法人ピースデポは15日、これまで32回とされてきた米国による核爆発を伴わない臨界前核実験が33回だったと明らかにした。米エネルギー省核安全保障局(NNSA)への情報公開請求で、2007年の実験が判明したという。米国は核戦力の近代化のため臨界前核実験を重視しており、24年に2回の実施を予定している。

 梅林宏道特別顧問の調査で開示された文書によると、米国は07年2~5月に「サーモス」と称する一連の実験を西部ネバダ州の地下核実験場で実施していた。従来は臨界前核実験とされてこなったが、NNSAが臨界前核実験の定義を広げ、新たに含まれたという。

 基準の拡大について、オンライン会見した梅林氏は「政治的な意図はないだろう」と分析。ただ、核弾頭に使うプルトニウムの劣化で米国にとって実験の重要性は高まっているとし「地下核実験を再開するかもしれない」との見方を示した。

 米国の直近の臨界前核実験は21年9月。NNSAのフルビー長官は昨年6月、「24年に2回の臨界前核実験を準備しており、20年代末までに年3回ほどを計画している」と表明している。(宮野史康)

臨界前核実験
 核爆発は伴わず、核分裂の連鎖反応が続く「臨界」にならないよう少量のプルトニウムなどの核物質に高性能火薬の爆発で衝撃を与え、反応を調べる。核爆発を伴う全ての核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT、未発効)に抵触しないが、条約の精神に反するとの批判がある。

(2024年4月16日朝刊掲載)

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