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厚労相発言に抗議文 米とブラジルの原爆被爆者協会 認識不足に失望

 坂口力厚生労働相が、在外被爆者の支援方針について答えた中国新聞のインタビューで、在外被爆者の実情に対して認識不足の発言をしたとして、米国原爆被爆者協会(友沢光男会長)と、在ブラジル原爆被爆者協会(森田隆会長)は二十一日、連名で抗議文を発表した。近く厚労相に郵送する。

 十六日付中国新聞に掲載されたインタビューで坂口厚労相は、在外被爆者の支援について「数だ。一体全体、被爆者は何人いるのか、ある程度分からないと対応できない」と強調。渡日して被爆者健康手帳を取得してもらい実態を把握することが、支援策を進める前提になる、との見解をあらためて示した。

 これに対し、高齢化や健康不安を理由に、現地での治療を求める両協会は、緊急の理事会や役員会を開き、対応を協議。「北米に十三回、南米にも九回、検診のために日本の医師団が訪れ、旧厚生省の職員も同行してきた。(本当に)ある程度の数すらも把握できていないのか。被爆者の実態を知り尽くした各国の被爆者協会も協力してきただけに、失望した。裁判だけが残された道なのか」との抗議文を出すことで一致した。

 友沢会長は「大臣の発言は、逃げ口上だ。被爆者団体を邪魔者扱いしている、とも取れる発言もあり、腹立たしい。渡日できずに、本当に困っている被爆者を早急に支援してもらいたい」と憤っている。

(2002年8月22日朝刊掲載)

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