在外被爆者事業 現地支援盛り込まず 同額の5億1700万円 2003年度予算概算要求 厚労省
02年8月29日
厚生労働省は二十八日にまとめた二〇〇三年度予算の概算要求に、在外被爆者支援事業の費用として、本年度と同額の五億千七百万円を組み入れた。「渡日」を前提に今年七月に始まった同事業をそっくり継続。海外の被爆者団体が求める現地での支援は盛り込まれなかった。
事業内容は、被爆者健康手帳取得のための来日や滞在費助成、渡日治療の渡航費補助などで、本年度と全く同じ。
同省は本年度、在外被爆者の実態を〇四年度までの三年間で把握する―として、広島、長崎両県市を実施主体に事業に着手した。しかし、米国やブラジル、韓国の被爆者団体は「高齢の被爆者に渡日は困難」と協力を拒否、または保留。両県市は、現地の在外被爆者への医療費補助などを含め、「国が前面に立った新たな支援策が必要」などと要望していた。
これに対し、同省は今回の概算要求でも「国が前面に出ると政府間交渉に発展し、支援そのものが困難になる。ノウハウを持つ両県市にお願いしたい」(健康局総務課)と従来の姿勢を崩さなかった。
これまで同事業で来日したのは、長崎市が手帳を交付したカナダ在住男性と広島市に手帳を申請中の韓国在住男性の二人だけ。広島市原爆被害対策部は「事業の円滑な実施には海外被爆者団体の協力が不可欠。引き続き国に追加支援を求める」としている。
このほか、概算要求では、被爆者援護法に基づく健康管理手当などに千四十九億四千九百万円、医療費として四百十四億四千二百万円などを盛り込み、被爆者対策は本年度当初予算より3.8%減の総額千五百七十億八千百万円。減少理由を同省は「支給者が減っているため」と説明している。
厚生労働省は二十八日、総額一兆四百億円の少子化対策を盛り込んだ二〇〇三年度予算の概算要求をまとめ、自民党厚生労働部会に提出した。
総額は十九兆五千二百三十七億円で、〇二年度当初予算と比べて4.6%(八千五百五十四億円)増。義務的経費は、少子高齢化などに伴う自然増九千百億円を六千九百億円に圧縮した。抑制した二千二百億円の内訳は(1)二〇〇〇年度から適用を見送っている物価スライド制凍結解除で千百五十億円(2)雇用保険制度改革で五百億円(3)介護サービスや生活保護の事業計画見直しなど五百五十億円。
ただ厚労省は物価スライド制について二〇〇〇~〇二年度分の凍結解除は認めておらず、相当分八百四十六億円を概算要求の枠外で要求する異例な形となった。
(2002年8月29日朝刊掲載)
事業内容は、被爆者健康手帳取得のための来日や滞在費助成、渡日治療の渡航費補助などで、本年度と全く同じ。
同省は本年度、在外被爆者の実態を〇四年度までの三年間で把握する―として、広島、長崎両県市を実施主体に事業に着手した。しかし、米国やブラジル、韓国の被爆者団体は「高齢の被爆者に渡日は困難」と協力を拒否、または保留。両県市は、現地の在外被爆者への医療費補助などを含め、「国が前面に立った新たな支援策が必要」などと要望していた。
これに対し、同省は今回の概算要求でも「国が前面に出ると政府間交渉に発展し、支援そのものが困難になる。ノウハウを持つ両県市にお願いしたい」(健康局総務課)と従来の姿勢を崩さなかった。
これまで同事業で来日したのは、長崎市が手帳を交付したカナダ在住男性と広島市に手帳を申請中の韓国在住男性の二人だけ。広島市原爆被害対策部は「事業の円滑な実施には海外被爆者団体の協力が不可欠。引き続き国に追加支援を求める」としている。
このほか、概算要求では、被爆者援護法に基づく健康管理手当などに千四十九億四千九百万円、医療費として四百十四億四千二百万円などを盛り込み、被爆者対策は本年度当初予算より3.8%減の総額千五百七十億八千百万円。減少理由を同省は「支給者が減っているため」と説明している。
総額19兆5237億円 本年度比4.6%増
厚生労働省は二十八日、総額一兆四百億円の少子化対策を盛り込んだ二〇〇三年度予算の概算要求をまとめ、自民党厚生労働部会に提出した。
総額は十九兆五千二百三十七億円で、〇二年度当初予算と比べて4.6%(八千五百五十四億円)増。義務的経費は、少子高齢化などに伴う自然増九千百億円を六千九百億円に圧縮した。抑制した二千二百億円の内訳は(1)二〇〇〇年度から適用を見送っている物価スライド制凍結解除で千百五十億円(2)雇用保険制度改革で五百億円(3)介護サービスや生活保護の事業計画見直しなど五百五十億円。
ただ厚労省は物価スライド制について二〇〇〇~〇二年度分の凍結解除は認めておらず、相当分八百四十六億円を概算要求の枠外で要求する異例な形となった。
(2002年8月29日朝刊掲載)