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短歌誌「むくげ」90周年 呉市民ら毎月発行 県内2番目の古さ 身近な話題や社会情勢詠む

 呉市の歌人を中心に発行する短歌同人誌「むくげ」が今春、創刊90周年を迎えた。短歌誌としては県内で2番目に古いという。1934(昭和9)年の創刊以降、戦中の一時期を除き毎月発行してきた。(栾暁雨)

 A5判、約30ページ。月1回発行し、4月の最新号で通算1035号を数えた。同市や近郊に住む60~90代の約30人の会員から送られてくる短歌を3人の選者が選び、毎月1人当たり10首前後を掲載。会員や希望者に届けている。身近な話題を詠むだけでなく、ウクライナ情勢や派閥の裏金事件、物価高など社会情勢に関する視点も五七五七七の31文字に盛り込む。

 「呉の文化に寄与しよう」と、高校の国語教師だった故幸田幸太郎さんたちが中心になって創刊した。県内の短歌誌では30(昭和5)年に別の誌名で創刊し、2年後に現在の名前になった広島市の「真樹」に次ぐ歴史を持つという。

 戦前は旧海軍の軍人や呉海軍工廠(こうしょう)の工員たちも参加していた。戦況が悪化した44年に一時休刊するが、46年に復刊。紙が不足する中、がり版刷りで発行を続けてきた。高度成長期には日新製鋼や東洋工業(現マツダ)の社員たちも多く参加し、最盛期には会員が約60人いた。

 現在は主幹の村上照男さん(90)=広島市安芸区=と伊藤玲子さん(87)=呉市、山本敏治さん(86)=同=が選者を務め、添削や論評を担当する。1日には90周年を記念した合同歌集「九嶺(くれ)」を発刊した。かつての会員も含め約60人が詠んだ約3千首を掲載している。

 村上さんは「地道な歩みでここまできた。人生経験を重ねるほど作品の深みが増すのが短歌のよさ。若い会員を増やし、魅力を伝えたい」と100周年を目指している。

(2024年4月19日朝刊掲載)

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