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広島・平和公園と米パールハーバー 姉妹協定の問題点探る 中区で市民討論会

 広島市の平和記念公園と米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定について、課題を探る市民討論会が広島弁護士会館(中区)であった。「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」などの市民団体が共催し、100人が参加した。

 ハワイの真珠湾は軍事施設が集積し、一帯に点在する戦跡や施設のうちアリゾナ記念館とビジターセンター、戦艦オクラホマ記念碑など5カ所が「公園」に指定されている。広島県被団協(佐久間邦彦理事長)平和学習講師団の大内正子さん(73)は1月に実施した現地視察について語った。

 大内さんは、ビジターセンターにある白血病で亡くなった佐々木禎子さんの折り鶴展示コーナーが「放射線被害には言及がない」と指摘。公園指定外の潜水艦博物館が一体的に隣接し、核ミサイルや原子力潜水艦の展示が目立ったという。「核抑止を強める場だ。平和記念公園とは真逆」と訴えた。

 教科書ネットの岸直人さん(70)は、昨年6月に締結されるまでの経過を市の開示文書から分析した。海外都市との友好・姉妹協定は市議会での長期間の議論と承認を経るのに対し、「姉妹公園協定は文面案も米国主導で、市は現地視察もしていない。米側の打診から2カ月余で市民の声を聞かず締結した」と批判した。

 また、5カ所の英語総称である「ナショナル・メモリアル」を当初は「国立記念館」と訳しながら、発表までに「国立公園」と変えたことに注目し、「平和記念公園とは異質な施設だと思われたくなかったのではないか」と述べた。

 市は姉妹公園協定について、「戦争の始まりと終焉の地に関係する両公園の提携は、未来志向で平和と和解の架け橋の役割を果たす」とし、米国の原爆投下責任の議論を「棚上げ」するとも市議会で答弁。市民団体などが反発している。(金崎由美)

(2024年4月22日朝刊掲載)

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