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在韓被爆者 民間記録で手当支給 広島市が正式に伝達 

■記者 東海右佐衛門直柄

 在韓被爆者への健康管理手当の未払い問題で、広島市は22日、韓国原爆被害者協会に対し、民間記録に基づき支給を始める方針を正式に伝えた。同協会は評価する一方で、未払いの可能性がある約300人全員に迅速に支給するよう求めた。

 市援護課によると、未払いの可能性がある約300人のうち民間記録の精査を終えたのは15人。厚生労働省の了解を得て9月下旬から大韓赤十字社を通じて支給を始める。二重払いなどを避ける必要があり、残りの人たちの民間記録の調査はまだ時間かかるという。

 この日、同協会の金龍吉(キムヨンギル)会長たちが市役所を訪れて市の説明を聞いた。金会長は記者会見し、協会が保管していた在韓被爆者の名簿、診断書、手当証書の資料を昨年7月、市に提供した経緯を説明。「1年で15人のペースは遅い。被爆者は高齢化しており、早く支給を」と訴えた。

 被爆者の健康管理手当は、1974年の旧厚生省通達で日本を出国後の支給が打ち切られた。その後、国は在外被爆者訴訟の敗訴を受け2003年に通達を廃止。5年間の時効の主張も2007年2月の最高裁で退けられ、全期間についてさかのぼっての支給が決まった。

 しかし、日韓両政府の事業ではなく、民間の招きで渡日治療を受けた被爆者については公的記録がないため証明が難しく、一部未払いが続いていたが、広島市が初めて、民間記録に基づき支給することを決めていた。

(2009年7月23日朝刊掲載)

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