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「浅野文庫」図書館 広島市が基本計画 郷土資料 閲覧・貸し出し可能に

 広島市立中央図書館(中区)所蔵の「浅野文庫」や広島ゆかりの文学資料の保存・活用で、市は市長公舎(同)を廃止して跡地に新設する専門図書館の整備基本計画をまとめた。郷土の歴史や文化に関する資料の閲覧、貸し出しを可能にする方針を明記した。

 「浅野文庫等施設」(仮称)の基本計画によると、新図書館は鉄筋3階建て延べ約2400平方メートル。うち3階の240平方メートルを割り当てる閲覧室には、約1万冊の開架スペースを設ける。主に近世の資料を並べ、閲覧や貸し出しに対応する。市内の他の図書館の本の貸し出し予約や受け取り、返却をできるコーナーは1階に設ける。

 1階には展示・図書コーナーもあり常設、企画展に使う。2階の第一収蔵庫には、旧広島藩主浅野家から寄贈されて原爆による焼失を免れた古書や絵図など約1万点を、第二収蔵庫には、原民喜や峠三吉たち広島ゆかりの文学資料約3万4千点などを保存し、将来の増加にも備える。

 新図書館は、広島の歴史や文化の学びと継承を目的に整備。JR広島駅前の商業施設「エールエールA館」(南区)に移す中央図書館と、現在地で改修するこども図書館(中区)とともに「中央館」と位置付け、連携する。2029年度の開館を目指し、24、25年度に設計、26~28年度に市長公舎の解体と建設を進める。概算事業費は約37億円。

 基本計画は、1月に公表した案に寄せられた145件の市民意見や市議会、図書館関係者の意見を踏まえた。近く市のホームページ(HP)で公表する。市生涯学習課の木本卓夫課長は「歴史資料の保存、活用に向けて新図書館への期待は大きい。研究者から小中学生まで幅広く利用してもらう施設にしたい」と話している。(野平慧一)

(2024年4月20日朝刊掲載)

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