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連載・特集

海自呉地方隊創設70年 第2部 防衛拠点整備案 <2> 機能

装備の整備・製造を想定

部隊活動拠点や港湾も

 終始落ち着いた様子だった。3月中旬に呉市議会で開かれた議会協議会(全員協議会)。濃紺のスーツに同じ色のネクタイを合わせた防衛省地方協力局の村井勝総務課長は、次々と飛んでくる市議からの質問全てに「ありがとうございます」と前置きした上で、よどみなく答えていった。

 日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(呉市)の跡地で複合防衛拠点を整備する意向があることを、同省が県と市に伝えた1週間後。市議への説明の場として設けられた同協議会の冒頭、村井課長は防衛拠点に想定する機能として、民間誘致を含む装備品などの維持整備・製造基盤▽防災拠点や艦艇の配備、訓練場などの部隊活動基盤▽岸壁などを活用した港湾―の3点を示した。

具体像明かさず

 市議からは呉での自衛隊員の増員や地元企業に配慮した計画を求める声が出たが、村井課長は「機能に合わせたゾーニングが先決」とし、具体像などは明かさなかった。同省は現時点で、常駐する隊員が増えると明言していない。

 約130ヘクタールもの広大な土地。同省関係者は、部隊を派遣する際、着岸した艦船に隊員が乗り込む拠点になる可能性を示す。「相当な規模の人員が乗り込むことも想定され、その人数が待機、訓練する場所としての機能を併せ持つ可能性がある」と話す。

 一方で、地元が期待を寄せる民間誘致についてはどうなるのだろうか。同省関係者は港湾機能に着目し「前線から運んできたものを降ろしたり載せたりすることができる。壊れた装備品などを修繕、補修できる民間の工場施設があればより効率的だ」とする。その上で「今はいろんな所で活用の青写真が広がっている」と言う。

 ヒントになりそうなのが同跡地に近い海上自衛隊呉基地が持つ特徴だ。「複合防衛拠点ができたとしても、ロジスティクスの拠点という基地の役割は今後も変わらない」と、呉地方総監経験者の一人は指摘する。

 呉基地には国内の海自基地の中で唯一、燃料輸送を専門とする油槽船2隻が配備されている。弾薬庫もあり、食料の補給や艦艇の修理などと併せて後方支援の任務を担っている。

「重要性は増大」

 防衛省の村井課長は同跡地について、南西諸島へのアクセスが良い点や陸自海田市駐屯地(広島県海田町)などに近い立地面のメリットを強調。「今後、呉地区の重要性は増大していくと考えている」とする。一方で弾薬庫については「火薬庫の整備も検討対象」としながら、メインの施設にはならないと示唆する。

 整備案は呉の特性を踏まえた機能を有するものになるのだろうか。同省が年内に示す方針のゾーニング案が注目される。(小林旦地)

(2024年4月24日朝刊掲載)

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