×

ニュース

ブラジル訪問時 被爆者と面会へ 首相 移住の渡辺さん

 岸田文雄首相が5月上旬に予定するブラジル訪問の際に、広島市で被爆し戦後に移住した渡辺淳子さん(81)と面会することが25日、分かった。被爆体験を聞き、原爆の惨禍を伝えてきた活動への謝意を示す。ライフワークとする「核兵器のない世界」への思いを発信する狙いがある。

 政府関係者によると、首相は5月4日にサンパウロを訪問。2歳の時に現在の安佐北区で「黒い雨」を浴びた渡辺さんと対面する。演劇を通じて被爆の惨状を伝えてきた渡辺さんの活動をねぎらい、異国での苦労を聞く。

 渡辺さんは2020年に解散したブラジル被爆者平和協会の理事だった。日本の被爆者援護法の枠外に置かれた南米被爆者の救済に尽力。23年には、南米5カ国に移住した被爆者の実態調査の原本を広島県医師会に寄贈した。5月17日まで広島大医学部医学資料館(広島市南区)で公開されている。

 厚生労働省によると、ピーク時に162人いたブラジルの被爆者は23年(3月末)に75人まで減っている。

 首相は5月1~6日の日程でフランス、ブラジル、南米パラグアイを歴訪する。各国首脳と会談する予定で、ブラジルのルラ大統領とはビジネス環境の整備や気候変動、貧困対策などを協議する。(宮野史康)

(2024年4月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ