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南薫造 初公開の39点 ふくやま美術館 身近な風景描く

 東京美術学校(現東京芸術大)教授や官展審査員を務めた洋画家の南薫造(1883~1950年)が身近な風景を描いた油絵やデッサンが、福山市西町のふくやま美術館で初公開されている。呉市の実家の庭や戦後の情景を切り取った39点を展示。6月23日まで。

 南の絵は、巧みな色彩表現で郷愁を感じさせる作風が特徴。明治末期から昭和期にわたって中央画壇で活躍し、太平洋戦争中に古里の呉市安浦町の実家に戻った。実家のアトリエに保管していた未公開作品を昨年度、遺族が同館に寄贈した。

 季節ごとに捉えた実家の庭、長野県軽井沢町の別荘周辺の木々とリスたち…。会場にはさまざまな油絵やデッサンなどが並ぶ。水面に小舟が浮かぶ様子を透明感ある色彩で描いた水彩画は学生時代の作品だ。

 被爆から3年後の原爆ドーム(広島市中区)や汽車の座席に腰かける復員した兵隊のスケッチもある。鈴木一生学芸員は「社会情勢や時代から離れた南の作品の中では珍しい。詩情豊かな絵を味わってほしい」と呼びかける。

 午前9時半~午後5時で、月曜休館(祝日は開館)。観覧料は一般310円、高校生以下無料。(原未緒)

(2024年4月26日朝刊掲載)

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