ぐるっとわがまち 本通・袋町 <3> レコード店店主 「GUY」こと大小田さん
24年4月29日
「パンクは実践」平和・復興に力
広島市中区本通の住民に、毎年8月6日に発行される平和をテーマにした無料の冊子「TO FUTURE」を見せてもらった。地元の被爆者や、入管難民法改正に反対する若者へのインタビューが載っている。聞き手は「GUY(ガイ)」さん。どんなガイ(やつ)だろう。
教えられた袋町の店を訪ねた。パンクハードコアのレコード店「ミザリー」。とがったデザインのジャケットがずらりと並ぶ。「海外から買いに来る人もいるんですよ」と、GUYこと店主の大小田(おおこだ)伸二さん(58)。冊子を作る以外にもバンドを組み、作詞も手がけるとか。照れながら歌詞カードを見せてくれた。
〽立ち上がれ 今すぐに 考えるだけじゃ無駄(むだ)なんだ 行動は心の証(あかし)さ―。
2014年の広島土砂災害でのボランティアをきっかけに、各地の被災地にも駆けつける。今月初めには店を妻成子(せいこ)さん(58)に任せて能登半島地震の被災地へ。3日間、がれきの中の家財や車を運び出した。「焼けた輪島の朝市も手つかずのまま。本当はもっといたかった」と唇をかむ。
パンクと平和活動、被災地でのボランティア。根っこは一緒だという。隣の中町でレコード店を営む神鳥孝昭さん(48)は「ガイさんの内面が音になり、喜怒哀楽にあふれている」と慕う。パンクは実践―。それがガイの生き方だ。(頼金育美)
(2024年4月29日朝刊掲載)