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世羅住民の「献納機」か 亡き祖父のアルバムに軍の戦闘機 福山の西山さん 関わりなど調査

 福山市駅家町の西山光雄さん(73)が、亡き祖父糸一さん(1977年に死去)のアルバムから日本軍の戦闘機とみられる写真を見つけた。戦時中に糸一さんの出身の世羅郡三川村(現世羅町)の住民が費用を集め、陸軍に贈った「献納機」とみられるという。西山さんは「どんな型式の飛行機で、祖父はどう関わっていたのか知りたい」と詳細を調べている。(松本輝)

 写真は「戦闘機 愛国第三四三三(広島世羅)陸軍省」との説明書きがあり、草原のような場所でプロペラを回す飛行機が写っている。機体には「世羅」と記され、白黒のため色は分からないが、両翼には日の丸のような丸い模様もある。

 西山さんは昨年11月、自宅にあった糸一さんのアルバムの整理中に写真を見つけた。世羅町教委の学芸員に見せたところ、戦時中に住民が費用を出し合い、軍に飛行機を献納する運動があったことを聞いたという。

 国立国会図書館などによると、飛行機献納運動は31年の満州事変以降、全国で展開された。学校や地域、企業など献納者はさまざまで、国民の戦意を高める狙いがあったという。

 献納した機体の写真や献納式の記録は各地に残っており、県内では神田村(現三原市)や戸河内町(現安芸太田町)でも献納運動があった。

 西山さんによると、糸一さんは第1次世界大戦中の17年12月に入隊し、19年11月に兵役を終えている。その後、中国配電(現中国電力)の前身の広島電気に就職。定年退職後は土木会社を興し、80歳で亡くなった。

 西山さんは「飛行機を献納したのは祖父の退役後だろう。祖父は献納にどう関わり、この飛行機がどこで戦ったのか。心当たりのある人は教えてほしい」と願う。西山さん☎090(2866)3658。

(2024年4月27日朝刊掲載)

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