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ドクさんと平和への思い共有 ユニタール広島で記録映画試写 被爆者らと交流会

 ベトナム戦争で米軍がまいた枯れ葉剤の影響とみられる結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」の弟グエン・ドクさん(43)を描いたドキュメンタリー映画の試写会が、広島市中区の国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所であった。上映後は現地のドクさんとオンラインでつなぎ、被爆者や学生たち10人が平和への思いを共有した。映画は県内では今月下旬以降に公開される。(山本真帆)

 題名は「ドクちゃん―フジとサクラにつなぐ愛―」。ドクさんは1988年、日本の医療関係者の支援で分離手術を受けた。2006年に結婚。生まれた双子に日本にちなみフジ、サクラと名付けた。健康に不安を抱えながらも、家族と支え合って暮らす現状を伝えている。07年に亡くなったベトさんには「兄さんは僕の中で生き続けている」と思いを寄せる。

 試写会は4月30日にあり、ドクさんとの交流会で被爆者の新井俊一郎さん(92)=南区=が「お互い戦争の生き証人ですね」と語りかけた。ドクさんは「戦争で生まれた重荷は次の世代が背負うことになる」と強調した。

 国連ユニタール協会が支援する学生組織「UNSA」が企画。安佐南区出身で、代表を務める順天堂大2年の中村将吾さん(19)=東京=は「ドクさんの生き方から学ぶことで、より自分のこととして平和を考えられた」と話した。

 上映時間は73分。県内では八丁座(中区)と福山駅前シネマモード(福山市)で今月下旬以降の公開を予定する。

(2024年5月2日朝刊掲載)

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