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社説・コラム

『想』 高山光明(かやまみつあき) 憲法流し読みの勧め

 日本国憲法は、1947(昭和22)年5月3日に施行されました。今年で77周年となります。人間であれば喜寿というところでしょうか。

 ところで、憲法というのは何でしょうか。一言でいえば、その国の在り方を定めた根本となる法です。古くは聖徳太子が定めた十七条憲法も、現代の憲法のように精緻なものではありませんが、聖徳太子が目指した国の在り方が記されています。日本国憲法も同じです。

 日本国憲法は、皆さまも学校で習われたように、①国民主権②基本的人権の尊重③平和主義-の三原則で成り立っています。日本国憲法には、具体的な条文の前に前文というものがあります。非常に格調の高い文書で、先の三原則のうち、国民主権と平和主義を力強くうたったものです。また、基本的人権の尊重については、11条と97条において、「侵すことのできない永久の権利」として強く保障をするとされています。わざわざ2か所において記載されていることに注目してください。

 さて、日頃新聞報道などに接しますと、憲法に記されている用語が意外に多いことに気が付きます。「衆議院の解散」が憲法に規定があることはご承知でしょう。それ以外のあまり聞き慣れない言葉、例えば、能登半島地震の被災地を支援するために予備費から支出するとの報道がありましたが、この「予備費」というのは、87条に規定があります。他にも新聞等で時折見られる用語が憲法にちりばめられています。ぜひ探してみてください。

 日本国憲法が施行された5月3日は憲法記念日として祝日になっていますが、この日を含む5月1日から7日までの1週間を「憲法週間」と呼んで、裁判所・法務省・弁護士会を中心にさまざまなイベントを行っています。ぜひご参加ください。具体的な内容は各機関のホームページをご参照ください。また、流し読みでもいいので、日本国憲法を最初から最後まで目を通すことをお勧めします。きっと面白い発見があることでしょう。(広島家庭裁判所長)

(2024年5月3日朝刊セレクト掲載)

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