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影響把握へ近く専門委 PFAS問題で東広島市 住民の健診結果検証 5地点で水質調査開始

 東広島市内の瀬野川水系周辺の井戸水などから国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、市は8日、周辺住民に実施した健康診断の結果を検証する専門委員会を近く設ける方針を示した。汚染源の可能性が高いとみている米軍川上弾薬庫近くの河川でのモニタリング調査も開始。住民の健康への影響の把握と水質汚染の原因究明を急ぐ。(教蓮孝匡)

 PFASは発がんリスクやコレステロール値の上昇など悪影響が指摘されている。市は3月下旬から、井戸水が指針値を超えた同市の八本松地区の住民を対象に臨時の健康診断を実施。55人が受診し、血液検査やがん検診などを受けた。現在、市の保健師が自宅を訪ねるなどして順次、結果を説明している。

 この日開いた記者会見で高垣広徳市長は、PFASの影響が健診結果に表れているかどうかを確認するため、公衆衛生などの専門家でつくる委員会を設ける考えを表明。「医学的見地から議論してもらい、その他の地域と有意な違いがあるかなどを整理する必要がある」と述べた。

 モニタリング調査は、米軍川上弾薬庫に近い瀬野川水系5地点で、4月下旬に始めた。5地点では昨年11月から今年2月にかけての水質調査で、最大で指針値の72倍のPFASを検出。市は2カ月ごとに水質を調べ、2~3週間後に判明する結果を市のホームページで公表する。

 高垣市長は「調査結果を米軍にも提供し同様の要請を続ける」と述べ、弾薬庫内の水質調査の実施などを米軍に求めていく考えを示した。

(2024年5月9日朝刊掲載)

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