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二重被爆の祖父 孫が体験を伝承 長崎市の原田さん、中区で講演 「広島とのつながり深めたい」

 広島と長崎で原爆に遭った二重被爆者の山口彊(つとむ)さん(2010年に93歳で死去)の孫、原田小鈴さん(49)=長崎市=が11日、広島市中区のエソール広島で講演した。原田さんは「被爆地同士のつながりを深め、核廃絶への思いを伝えていける人を全国に広げたい」と呼びかけた。

 原田さんは山口さんの被爆体験を紙芝居で伝えた。長崎市出身の山口さんは三菱重工業長崎造船所の技師で、1945年8月6日に出張先の広島で原爆に遭い、帰宅後の9日に長崎でも被爆した。

 講演活動で全国を回っている原田さんは「なぜ2度使用されたのか、いつも考えている」と回顧。「遺族として差別に遭うこともあるが、語り継ぐことが肝心」と続けた。

 講演会は市民グループ「被爆体験を継承する会」が主催し、約90人が参加した。山口さんたち二重被爆者を追ったドキュメンタリー映画の上映もあった。叡啓大2年山本芽依さん(19)=佐伯区=は「人と人との交流を大切に核廃絶への発信を続ける姿勢が心に響いた」と話した。(野平慧一)

(2024年5月12日朝刊掲載)

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