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原爆症認定 国の解決策最終調整 

■記者 岡田浩平

 原爆症認定集団訴訟で、8月6日の広島原爆の日が提示のめどとされる国の解決策の検討が、大詰めを迎えている。政府は、裁判で勝訴しながら未認定の原告について、政治判断で全員を認定することも視野に最終調整を進めている。

 原告約300人のうち、認定条件が緩和された昨年4月からの現行基準でも認定されていない原告は約110人に上る。内訳は勝訴原告約35人、判決が出ていない原告約60人、敗訴原告約15人。

 政府はこのうち、勝訴原告約35人について、厚生労働省の被爆者医療分科会で再審査し、可能な限り認定する方針。再審査でも認定されない勝訴原告が出た場合は、厚労相が「司法判断を尊重する」との政治判断をして認定する方向で大詰めの協議をしている。

 さらに与党関係者からは、敗訴原告に基金を設けて一時金を渡すなどの策を講じ、集団訴訟を終結する案も浮上。判決が出ていない原告については、認定するか、一時金で救済するかを病気や被爆状況を勘案して決めることも検討している。

 河村建夫官房長官は23日の定例会見で「広島、長崎の原爆の日が近づいており、麻生太郎首相の解決への強いメッセージを出せるよう検討している」と述べた。

 ただ、厚労省の江利川毅事務次官は同日の定例会見で「一審判決は判断が幅広く分かれている。法律に基づき適正に執行する範囲に入らないものは不可能」とし、勝訴原告の全員認定は困難との姿勢を崩していない。

 国は原爆症認定の現行基準で、被爆状況など一定条件で「積極認定」する病気の対象に肝臓と甲状腺の病気を加えた。

(2009年7月24日朝刊掲載)

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