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ノートルダム清心中・高 修道院 老朽化で一部解体へ 戦後復興を象徴 旧聖堂含め改修

 ノートルダム清心中・高(広島市西区)の敷地内にある旧聖堂・修道院が老朽化のため6月に改修工事に入る。戦後復興期の建築様式を映す修道院の半分が取り壊されることになり、同校南の新己斐橋(同)から見える赤い屋根は一部なくなる。専門家は「広島らしい建築作品。名残惜しい」としている。(松本真由子)

 旧聖堂・修道院は、学校を創設したナミュール・ノートルダム修道女会(東広島市)が1955年に建てた。地上3階地下1階の鉄筋コンクリート造りで、延べ1329平方メートル。2017年までシスターが住んでいた。

 卒業生でつくる「なでしこ建築会」が保存に向け19年から見学会を開催。費用や運用の面から聖堂を中心に耐震補強をし、修道院の半分は解体することになった。建設時は工業化の途上にあり、解体部分には職人手づくりの洗濯室のシンクや鉄製の窓枠などもある。

 保存を働きかけた神垣しおり校長補佐は「物資が不十分な時代に建てられ、平和への祈りを継いできた。一部解体は苦渋の決断」と話す。

 広島の建築に詳しい市民団体「アーキウォーク広島」の高田真代表は「聖堂部分は窓が縦長で宗教的な印象を重視する一方、修道院部分は窓が横長でモダニズムを巧みに取り入れている。広島の戦後復興を象徴する建築」と説明する。

 改修は25年中に終わる見込み。完了後は同校が譲り受け、修道院は修道女会や学校の歴史を伝える展示室などに使う。

(2024年5月15日朝刊掲載)

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