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核廃絶 逆行に怒り 米が臨界前核実験 広島の被爆者や市民「許せない」

 米国が爆発を伴わない臨界前核実験を実施したのを受け、広島の被爆者や市民たちは17日、バイデン政権に対して抗議の声を上げた。1年前に広島市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)で「核兵器のない世界」を目標に掲げただけに、逆行する核超大国の動きに怒りが収まらない。(山下美波、野平慧一、川上裕)

 米国を含むG7はサミットで初の核軍縮に特化した共同文書「広島ビジョン」をまとめて「現実的」なアプローチを通じて核なき世界を目指す姿勢を示し、成果として誇ってきた。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長は「言う事とやる事が違う。紛争が絶えない中、米国が核実験すればロシアも実施するだろう」と非難した。

 もう一つの県被団協は15日にバイデン大統領宛てに実験中止を求める要請文を送ったばかりだった。佐久間邦彦理事長は「核抑止力による平和はあり得ないと認識すべきだ」と語気を強める。

 「なぜ今…」。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」の森滝春子顧問(85)は言葉を失った。ロシアとイスラエルが核兵器で威嚇しながら戦闘を続ける現状を踏まえ「世界が緊張する中で、さらに核開発を進める動きは許せない」と憤る。

 米国では上院議員らが広島、長崎への原爆投下を正当化する発言を繰り返している。市民グループ「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)共同代表の田中美穂さん(29)は「今なお核被害があるのを米国のどれだけの人が知っているのか。長崎と一緒に声を上げていかないと」と気を引き締めた。

(2024年5月18日朝刊掲載)

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