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米が臨界前核実験 被爆者や自治体 憤り 広島県内 座り込み・抗議文送付

 米国がバイデン政権下で3回目となる臨界前核実験をしたのを受け、広島県内で18日、被爆者団体や自治体に憤りの声が広がった。座り込みをしたり、バイデン大統領宛ての抗議文を出したりし、核実験をやめるよう求めた。

 広島県被団協(佐久間邦彦理事長)と県原水協は、広島市中区の平和記念公園で原爆慰霊碑前に座り込んだ。9人が約20分間、「アメリカの臨界前核実験に断固抗議する!」などと記した横断幕やビラを掲げた。

 佐久間理事長は、昨年5月に市であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)に触れ、「核軍縮の合意文書『広島ビジョン』を無視した行為だ。納得できない」と怒りをあらわにした。

 県被団協は座り込みに先立ち、バイデン大統領への抗議文を東京の米国大使館にファクスした。広島の被爆者7団体としても、臨界前核実験を直ちにやめるよう要請する声明を郵送した。

 自治体も相次いで抗議文を送った。広島市の松井一実市長は「被爆者をはじめ、核兵器廃絶を求める多くの人々の願いに背く。断じて許せない」と批判し、平和首長会議の会長名でも抗議した。湯崎英彦知事も「強い憤りを感じる。国際社会が積み上げてきた核軍縮の取り組みを大きく後退させる」と強調。東広島、廿日市の各市も同様の趣旨を訴えた。

 米国は今月14日夕に西部ネバダ州の核実験場内で、2021年9月以来となる通算34回目の臨界前核実験をした。25年前半にも計画している。(河野揚)

(2024年5月19日朝刊掲載)

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