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「大和」頼み 転換なるか 呉のミュージアム 来年2月から1年余り休館 宿泊呼ぶ施策求める声も

 呉市内で最も集客力のある施設の大和ミュージアム(宝町)がリニューアル工事に合わせて来年2月から1年余り休館する。地元では観光や経済への影響を懸念する声が出る一方、「大和頼みからの脱却の機会」と捉えた動きも出始めている。(栾暁雨)

 「コロナ禍明けの長期休館は痛い。週末の宿泊需要が減りそう」。市ホテル旅館組合の三島義弘理事長(64)は残念がる。経営するビジネスホテルは、観光客も増えていたという。

 同館近くでは「呉海自カレー」の「出航式」や全国のご当地キャラクターが集まる「呉ご当地キャラ祭」など人気イベントも実施され、休館中の開催と集客に気をもむ。「企業の撤退や縮小が続く中、休館を避ける方法はなかったのだろうか。屋台やスタンドバーを活用した夜イベントの実施など、宿泊につなげる施策を展開してほしい」と市などに要望する。

 「大和だけに頼る観光から転換する時だ」と受け止めるのは184店が加盟する呉飲食組合の柴村清組合長(62)。「映える商店街」を目指し、今年1、2月に呉産レモンを使ったメニューなどを提供する「くれレモンフェア」を開催。商店街のグルメ情報を紹介したパンフレットも好評で「中長期的な集客につなげるため、ピンチをチャンスに変えたい」と前を向く。

 同館の来場者に聞くと「大和ミュージアム目当てで呉に来た」との声は多いが、中には「呉は他に見どころが多い」との反応も。大阪市の50代男性は「呉湾での艦船巡りがメイン。潜水艦や護衛艦が間近で見られるだけで旅行に来る価値がある」と言い切る。

 NPO法人呉サポートセンターくれシェンド理事の小野香澄さん(40)は「魅力に気付いていなかった地域の観光資源を磨く好機。市周辺部のPRを含め、ミュージアムの休館にダメージを受けないような観光の分散化、多様化が望まれる」と求めた。

(2024年5月20日朝刊掲載)

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