×

ニュース

AIが核軍縮に悪影響の可能性 リスク管理 必要性提言へ 国際賢人会議が閉幕

 核兵器廃絶への道筋を国内外の有識者が探る国際賢人会議の第4回会合は22日、横浜市で2日間の議論を終え、閉幕した。2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、来年夏までに提言をまとめると確認。人工知能(AI)などの新興技術が核軍縮に悪影響を及ぼし得るとして、人間がリスク管理に当たる必要性などを盛り込むと決めた。

 委員15人の座長を務める白石隆・熊本県立大特別栄誉教授が閉幕後の記者会見で明らかにした。AIなどの新興技術を巡っては「リスクと機会の両方を生み出す。リスク管理には人間が介在する原則が重要だ」と述べた。核兵器の不使用▽政治指導者の関心向上―の重要性も提言で触れるという。

 今会合では、核抑止の是非も議論した。中国の核戦略に詳しい米カーネギー国際平和財団の趙通シニアフェローは会見で「核兵器への依存を下げると通常兵器での脅しがより大胆になる懸念もある」と指摘。「(核抑止の)底流にある大国間の対立をどう抑えるかを議論した」と話した。

 委員は討議後に官邸を訪問。面会した岸田文雄首相は「白熱した議論に感謝する。核兵器のない世界という理想に向けた道筋を皆さんと考えていきたい」と激励した。

 次回は今年後半にオンライン会合を開き、25年春の最終会合につなげる。(宮野史康)

(2024年5月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ