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北朝鮮の被爆者 映画に 三重の伊藤孝司さん制作

■記者 水川恭輔

 被爆者の取材を続けるフォトジャーナリスト伊藤孝司さん(57)=三重県=が、被爆者健康手帳取得を望む北朝鮮の女性を描いた記録映画「ヒロシマ・ピョンヤン 棄(す)てられた被爆者」を制作した。8月5日午後2時、広島市中区の広島YMCA国際文化ホールで無料上映する。

 伊藤さんは2008年6月~2009年4月に北朝鮮を3度訪問して取材。平壌に住む李桂先(リゲソン)さん(67)の日々の暮らしやインタビューなどを90分の映画にまとめた。

 李さんは大竹市生まれ。原爆投下12日後の広島に入った。1960年、家族を残して北朝鮮に帰国。指の皮膚病や貧血に悩まされている。2007年11月、同手帳申請のため来日を計画した。しかし、日朝関係の悪化で付添人の来日が認められず断念した。

 昨年12月の改正被爆者援護法施行を受け、日本政府は海外からの手帳申請も受け付けている。しかし、日本との国交のない北朝鮮には窓口となる日本大使館や領事館がなく、李さんは申請できないままでいる。

 李さんと一緒に被爆した街に入った母=今年4月に死去=は手帳を取得した。李さんは「一緒に被爆したのに、なぜ私を補償してくれないの」と日本政府に問いかける。

(2009年7月24日朝刊掲載)

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