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「核兵器の使用 阻止を」 93歳梶本さん 広島大で被爆証言

 広島市西区の被爆者、梶本淑子さん(93)が東広島市鏡山の広島大東広島キャンパスで体験を語った。「世界は混沌(こんとん)としている。3度目の核兵器の使用は阻止しなければいけないという信念で、被爆者が一生懸命証言してきた」と、文学部の1年生約130人に訴えた。

 高等女学校3年で14歳だった梶本さんはあの日、爆心地から約2・3キロの広島市内の工場に動員され、飛行機部品の製造作業中に被爆した。「地球が爆発したと思うような、ものすごい音がし、目の前の土地が浮き上がった」と言う。

 ガラス片が刺さった腕や建物からはい出る時に負ったけがで血だらけの脚。友達のちぎれそうな腕や、数え切れない遺体を踏みながら感じた死臭。被爆直後に目の当たりにした光景を克明に語った。「広島の街はまさに地獄でした」

 同市内の自宅で被爆した父は、1年半後に亡くなった。「被爆の恐ろしさは、まだ終わっていない。子どもや孫、ひ孫に放射線の影響がないか、心配しながら生きている」と明かした。「核兵器の問題は79年前の話ではない。若い皆さんが被爆の実相を知り、伝えていってほしい」と力を込めた。

 長崎出身の1年村山昊太郎さん(19)は「広島の被爆はほとんど知らなかった。残酷さをありのままに語ってくれたからこそ心に残った。二度と繰り返してはいけないとの気持ちが強くなった」と話していた。(石井雄一)

(2024年6月1日朝刊掲載)

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